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家族や親族などに現金を贈与する場合、「お金を渡すだけだから契約書までは必要ない」と考える方もいるかもしれません。
しかし、現金の贈与について契約書を作成しておけば、「誰が」「誰に」「いくらの現金を贈与するのか」といった合意内容を明確に残すことができます。
また、贈与は一方的に財産を渡すだけで成立するものではなく、贈与する側と受け取る側の合意によって成立する契約です。
この記事では、現金贈与契約書とはどのような契約書なのか、作成する意味や記載しておきたい内容、書き方のポイントについて行政書士が解説します。
記事の後半では、シンプルな現金贈与契約書のひな形も紹介します。
※この記事は2026年8月時点の法令等に基づいています。
現金贈与契約書とは?
現金贈与契約書とは、現金を無償で贈与することについて、贈与する人と贈与を受ける人との合意内容を書面にした契約書です。
民法第549条では、贈与について、一方の当事者が財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方がこれを受諾することで効力が生じると定められています。
つまり、贈与は贈与する側が一方的に、
「100万円をあげます」
と決めるだけではなく、受け取る側も、
「100万円を受け取ります」
と承諾することによって成立する契約です。
現金贈与契約書を作成する場合には、贈与する意思だけでなく、受贈者が贈与を承諾したことについても分かるようにしておくことが重要です。
現金を贈与するときは契約書を作った方がいい?
現金を贈与する場合に、必ず贈与契約書を作成しなければ贈与が成立しないわけではありません。
贈与契約は、原則として口頭による合意でも成立します。
しかし、現金贈与契約書を作成しておけば、
誰が贈与したのか
誰が贈与を受けたのか
いくら贈与したのか
いつ贈与するのか
どのような方法で支払うのか
受贈者が贈与を承諾したのか
といった内容を明確に残すことができます。
後から当事者間で認識の違いが生じることを防ぐという意味でも、一定額の現金を贈与する場合には、契約内容を書面にしておくことをおすすめします。
書面によらない贈与には解除についての特別なルールがある
贈与契約を書面にする意味を考えるうえで知っておきたいのが、民法第550条です。
民法では、書面によらない贈与について、各当事者が解除できると定められています。
ただし、すでに履行が終わった部分については解除できません。
例えば、
「来月100万円を贈与する」
という約束を口頭でしたものの、まだ実際には現金を渡していないという場合には、書面による贈与かどうかが重要になることがあります。
現金贈与契約書を作成しておくことには、単に証拠を残すというだけでなく、こうした民法上のルールとの関係でも意味があります。
現金贈与契約書に記載しておきたい内容
現金を贈与するだけのシンプルな契約であれば、非常に長い契約書を作成する必要はありません。
重要なのは、贈与の内容を明確にすることです。
ここからは、現金贈与契約書に記載しておきたい代表的な内容を紹介します。
1.贈与者と受贈者
まず、誰から誰への贈与なのかを明確にします。
現金を贈与する人を「贈与者」、現金を受け取る人を「受贈者」といいます。
契約書では、
「〇〇(以下『甲』という。)及び〇〇(以下『乙』という。)」
などと当事者を特定し、以降は「甲」「乙」と表記する方法がよく使われます。
契約書の最後には、各当事者の氏名などを記載して、誰と誰が締結した契約なのかが分かるようにしておきます。
2.贈与する金額
現金贈与契約書では、いくらの現金を贈与するのかを明確に記載します。
例えば、
「甲は、現金100万円を乙に贈与する」
といった形です。
金額が曖昧では契約内容も曖昧になってしまうため、具体的な金額を記載します。
3.受贈者が贈与を承諾したこと
贈与契約では、贈与者が財産を与える意思を表示するだけでなく、受贈者がこれを受諾することが必要です。
そのため、
「甲は、現金100万円を乙に贈与するものとし、乙はこれを承諾した。」
など、贈与する意思と受贈者の承諾の両方が分かるように記載しておくとよいでしょう。
現金贈与契約書では特に重要な部分です。
4.現金を渡す期限
契約を締結した日にその場で現金を渡すとは限りません。
契約締結後に贈与する場合には、
「〇年〇月〇日までに支払う」
など、いつまでに贈与を履行するのかを定めておくと分かりやすくなります。
期限を定めておけば、贈与契約を締結したものの、いつ現金を渡すのか分からないという状態を防ぐことができます。
5.現金を渡す方法
現金の贈与方法についても決めておくことができます。
例えば、
現金を直接手渡しする
指定する銀行口座へ振り込む
などの方法があります。
銀行振込を利用する場合には、
「乙が指定する銀行預金口座に振り込み送金する」
などと記載することができます。
現金の贈与は銀行振込にする方法もある
「現金贈与」というと、紙幣を直接手渡しするイメージを持つかもしれません。
しかし、現金の贈与を銀行振込によって行うこともできます。
銀行振込を利用すれば、
振込日
振込金額
振込先
などの記録が金融機関に残ります。
契約書で贈与内容を明確にしたうえで、実際の支払いを銀行振込にすることで、契約内容と履行の記録を確認しやすくなります。
6.振込手数料を誰が負担するか
銀行振込によって現金を贈与する場合には、振込手数料が発生することがあります。
金額としては小さい場合が多いものの、
「贈与者が負担するのか」
「受贈者が負担するのか」
を契約書で決めておけば、より明確です。
今回紹介するひな形では、振込手数料を受贈者側が負担する内容としています。
もちろん、贈与者側が負担する内容に変更することも可能です。
7.契約を締結した日
契約書には、贈与契約を締結した日を記載します。
現金を実際に渡した日とは別の日になることもあります。
例えば、8月1日に贈与契約を締結し、
「8月31日までに指定口座へ振り込む」
という契約にすることもできます。
契約日と実際に贈与を履行する日を区別して記載しておくと、契約内容がより分かりやすくなります。
8.署名・押印
契約書の最後には、贈与者と受贈者それぞれの氏名などを記載します。
署名や押印によって、当事者がその契約内容について合意したことを確認しやすくなります。
また、契約書を2通作成し、贈与者と受贈者がそれぞれ1通ずつ保管する方法も一般的です。
現金贈与契約書は長い契約書である必要はない
現金を無条件で一度だけ贈与するようなシンプルな契約であれば、贈与契約書そのものもシンプルな内容にすることができます。
例えば、
誰から誰への贈与なのか
いくら贈与するのか
受贈者が承諾したこと
いつまでに支払うのか
どのような方法で支払うのか
といった事項が明確であれば、何ページにもわたる契約書を作成する必要はありません。
契約書では、文章を長くすることそのものが目的ではありません。
その契約で必要となる事項を過不足なく、当事者が理解できる形で定めることが重要です。
現金贈与契約書のひな形を使用するときの注意点
ひな形は、現金を一度だけ無条件で贈与するシンプルな契約を想定しています。
実際の贈与内容によっては、そのまま使用することが適切ではない場合があります。
例えば、
複数回に分けて現金を渡す
一定の条件を付けて贈与する
受贈者に何らかの負担を求める
贈与者が死亡した場合に効力を生じさせる
といったケースでは、契約内容に応じた条項を検討する必要があります。
インターネット上のひな形を利用する場合には、「贈与契約書」という名称だけを見て使用するのではなく、自分たちの合意内容に合っているか確認することが重要です。
現金贈与契約書についてのまとめ
現金贈与契約書は、現金を贈与する人と受け取る人との合意内容を明確にするための契約書です。
贈与契約自体は必ずしも書面でなければ成立しませんが、契約書を作成しておくことで、
贈与者と受贈者
贈与する金額
受贈者の承諾
支払期限
支払方法
などを明確に残すことができます。
また、民法では書面によらない贈与について特別な解除のルールが定められているため、書面を作成することには法律上の意味もあります。
現金贈与契約書は、必ずしも複雑で長い契約書にする必要はありません。
重要なのは、実際の贈与内容に合わせて必要な事項を明確に定めることです。
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現金贈与契約書についてもお客様の事情に沿ったものを作成することができます。
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