自動車の販売に伴い、車庫証明(自動車保管場所証明)の取得が必要になるケースは少なくありません。
ディーラー様をはじめとする自動車販売店様では、車両の販売だけでなく、必要書類の案内、自動車登録、納車準備など、1台の自動車を納車するまでにさまざまな業務が発生します。
その中で、車庫証明の書類作成や警察署への申請・受領まで自社で対応すると、販売担当者様の負担も大きくなります。
さらに、2026年1月1日には改正行政書士法が施行され、自動車販売会社による車庫証明申請書や自動車登録申請書の作成についても、これまで以上に注意が必要となっています。日本行政書士会連合会も2026年7月、自動車販売会社による手続について「行政書士法違反になるものと考えられる例」を公表しています。
この記事では、ディーラー様をはじめとする自動車販売店様が車庫証明を行政書士へ依頼するメリットと、2026年施行の改正行政書士法との関係について解説します。
※この記事は2026年8月時点の情報に基づいています。
車庫証明業務は意外と手間がかかる
車庫証明は、単に申請書を警察署へ提出すれば終わる手続ではありません。
案件によって異なりますが、
必要書類の確認
車庫証明申請書の作成
所在図・配置図の作成・確認
自認書や保管場所使用承諾証明書の確認
保管場所を管轄する警察署の確認
警察署への申請
交付された車庫証明の受領
不備や補正があった場合の対応
などが必要になります。
また、窓口申請の場合は、車庫証明の申請と受領のため、原則として平日に警察署へ出向く必要があります。日本行政書士会連合会も、自動車登録に必要となる車庫証明について、平日に警察署へ複数回出向く必要があることを案内しています。
営業担当者様が警察署への往復に時間を使えば、その間は商談や顧客対応などの本来の業務から離れることになります。
車庫証明を行政書士へ依頼することには、こうした負担を軽減できるメリットがあります。
ディーラー様が車庫証明を行政書士に依頼するメリット
1.警察署へ行く負担を減らせる
車庫証明を自社で申請する場合、担当者様が警察署へ申請に行き、交付後に再び受領へ行く必要があります。
店舗から警察署まで距離がある場合には、往復の移動時間も無視できません。
さらに、複数のお客様の車庫証明を異なる警察署へ申請する場合には、それぞれの警察署へ出向く必要があります。
行政書士へ依頼することで、販売担当者様が警察署へ出向く負担を減らし、商談や納車準備などに時間を使いやすくなります。
2.書類作成・確認の負担を減らせる
車庫証明では、申請書のほかにも所在図・配置図、自認書、保管場所使用承諾証明書など、状況に応じた書類が必要になります。
また、法人のお客様の場合には、本店所在地と実際に自動車を使用する営業所等の所在地が異なり、「使用の本拠の位置」を確認するための資料が必要になることもあります。
行政書士へ依頼することで、案件ごとの必要書類の確認や、行政書士が業として行うことのできる申請書類の作成を任せることができます。
3.書類不備によるスケジュールへの影響を減らしやすい
車庫証明は、その後の自動車登録や納車スケジュールと関係する重要な手続です。
申請書の記載漏れや添付書類の不足などがあれば、予定どおりに手続が進まない可能性があります。
行政書士が事前に書類を確認することで、不備を早い段階で発見しやすくなります。
もちろん、行政書士へ依頼したからといって、警察署所定の交付日数そのものが短縮されるわけではありません。
しかし、書類作成や確認を専門家へ任せることによって、手続上の不備による遅れを防ぎやすくなることはメリットの一つです。
4.遠方のお客様の車庫証明にも対応しやすい
自動車を購入されるお客様が、販売店舗の近隣にお住まいとは限りません。
県外の販売店様が神奈川県のお客様へ自動車を販売する場合など、販売店舗から遠く離れた警察署へ車庫証明を申請しなければならないケースもあります。
このような場合、保管場所の地域に対応している行政書士へ依頼することで、販売店様が遠方の警察署まで出向く必要がなくなります。
特に遠隔地のお客様への販売が多い販売店様にとっては、行政書士を活用するメリットが大きいといえます。
2026年1月1日に改正行政書士法が施行
ディーラー様をはじめとする自動車販売店様に特に確認していただきたいのが、2026年1月1日に施行された改正行政書士法です。
改正行政書士法第19条第1項では、行政書士または行政書士法人でない者による業務の制限について、
「他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て」
という文言が加えられ、その趣旨が明確化されました。
ここで重要なのは、2026年になって初めて自動車販売会社による書類作成が禁止された、という意味ではないことです。
日本行政書士会連合会は、この改正について、行政書士等でない者が他人の依頼を受け、「会費」「手数料」「コンサルタント料」「商品代金」など、どのような名目であっても対価を受領し、業として官公署に提出する書類等を作成することは違法であるという従来の行政書士法の解釈を明示するものと説明しています。
つまり今回の改正では、「書類作成代」という名目で直接料金を受け取っているかどうかだけでは判断されないことが、より明確に示されました。
「車庫証明の作成は無料サービス」なら問題ない?
自動車販売店様にとって特に注意が必要なのが、この点です。
日本行政書士会連合会が公表した資料では、自動車販売会社の販売員が、自社で販売した車両についてお客様の車庫証明申請書の作成を代行する場合、作成費用を無料としていても、車両販売代金や整備代金等に報酬が含まれていると考えられることから、行政書士法違反になるものと考えられるとの例が示されています。
そのため、
「車庫証明の作成料金を別途請求していないから大丈夫」
「サービスとして無料で書いているから大丈夫」
と単純に判断することはできません。
名目ではなく、実質的に対価を得て業として書類を作成しているかどうかが問題となります。
顧客情報や車両情報を使った書類作成にも注意
現在では、顧客情報や車両情報を社内システムに登録している販売店様も多いでしょう。
日本行政書士会連合会の資料では、自動車販売会社の販売員が、自社の顧客情報や車両情報等のデータベースを利用して、販売した車両に係る車庫証明申請書を作成する場合についても、行政書士法違反になるものと考えられる例として挙げられています。
したがって、この問題は「担当者様が申請書を手書きした場合」に限られるものではありません。
社内システムから情報を転記・出力する形で申請書を作成する場合についても、業務フローを確認しておく必要があります。
提出後の追記・訂正・補正にも注意
車庫証明の実務では、申請後に車台番号を追記したり、警察署から記載内容について訂正・補正を求められたりすることがあります。
日本行政書士会連合会の資料では、自動車販売会社の販売員が、車庫証明申請書や添付書類を警察署へ提出した後に、
車台番号を追記する
記載内容を訂正する
記載内容を補正する
といった行為についても、行政書士法違反になるものと考えられる例として示されています。
さらに、警察署の職員から訂正や補正を求められた場合であっても同様との考え方が示されています。
そのため、申請書を最初に誰が作成するかだけではなく、申請後に誰が追記・訂正・補正を行うのかまで含めて業務フローを考えておくことが重要です。
自動車登録申請書についても注意が必要
行政書士法との関係で注意が必要なのは、車庫証明だけではありません。
日本行政書士会連合会は、自動車販売会社の販売員が自社で販売した車両について自動車登録申請書を作成する場合についても、車庫証明と同様に行政書士法違反になるものと考えられる例を示しています。
また、
顧客情報や車両情報等のデータベースを利用して申請書を作成する
提出後に追記する
記載内容を訂正・補正する
といった行為についても具体例が示されています。
そのため、自動車販売店様では、車庫証明だけを切り離して考えるのではなく、車庫証明から自動車登録まで含めた手続全体の業務分担を確認することが重要です。
自動車販売店・ディーラー様が自動車登録を行政書士に依頼するメリットについては、『自動車販売店・ディーラーが自動車登録を行政書士に依頼すべき理由』で詳しく解説しています。
行政書士法違反は会社のコンプライアンスにも関わる
2026年施行の改正行政書士法では、両罰規定についても改正されました。
日本行政書士会連合会の資料では、行政書士等でない者が第19条第1項に違反した場合、行為者だけでなく、その行為者が所属する法人等についても100万円以下の罰金刑を科す規定が整備されたことが説明されています。
つまり、自動車販売会社にとっては、担当者様個人だけの問題として考えるべきものではありません。
販売店様として、
車庫証明申請書を誰が作成するのか
自動車登録申請書を誰が作成するのか
顧客情報・車両情報をどのように扱うのか
提出後の追記・訂正・補正を誰が行うのか
どこから行政書士へ依頼するのか
といったルールを確認し、社内で共有しておくことが重要です。
行政書士への依頼は業務効率化だけではない
車庫証明を行政書士へ依頼するというと、
「警察署へ行く手間を減らすため」
というメリットがまず思い浮かぶかもしれません。
もちろん、それも大きなメリットです。
しかし、2026年の改正行政書士法と日本行政書士会連合会が公表した具体例を踏まえると、行政書士を活用することには、自動車販売店様の業務分担を明確にし、コンプライアンス体制を整えるという意味もあります。
販売担当者様には車両販売やお客様対応に集中していただき、行政手続に関する書類作成や申請については行政書士へ依頼する。
このように役割を分担することは、業務効率化とコンプライアンスの両面から検討する価値があります。
単発・継続どちらの車庫証明も行政書士に相談できる
行政書士への依頼は、必ずしもすべての車庫証明を一括して任せる必要はありません。
たとえば、
神奈川県内の案件を継続的に依頼する
店舗から遠い地域の案件だけ依頼する
繁忙期だけ依頼する
特定の警察署の案件をまとめて依頼する
車庫証明と自動車登録をあわせて相談する
といった方法も考えられます。
販売店様の業務量や社内体制に応じて行政書士を活用することで、担当者様の負担を抑えながら手続を進めることができます。
自動車販売店・ディーラーが車庫証明を行政書士に依頼すべき理由まとめ
ディーラー様をはじめとする自動車販売店様が、車庫証明を行政書士へ依頼する主なメリットとして、
警察署へ出向く負担を減らせる
書類作成・確認の負担を減らせる
不備による登録 / 納車スケジュールへの影響を減らしやすい
遠方のお客様の車庫証明にも対応しやすい
社内の業務分担を明確にしやすい
行政書士法を踏まえたコンプライアンス体制を整えやすい
といった点が挙げられます。
特に2026年1月1日に施行された改正行政書士法では、「いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」という文言が加えられ、その趣旨が明確になりました。これは、それまで適法だった行為を2026年から新たに禁止したというものではなく、従来の行政書士法の解釈をより明確にしたものと説明されています。
日本行政書士会連合会からは、自動車販売会社による車庫証明申請書や自動車登録申請書の作成等についても具体例が公表されています。
この機会に、自社で行っている車庫証明・自動車登録業務について、誰がどの作業を担当しているのか一度確認してみてはいかがでしょうか。
自動車販売店様・ディーラー様からのご依頼について
フリューゲル行政書士事務所では、ディーラー様をはじめとする自動車販売店様からの、車庫証明・自動車登録に関するご相談を承っています。
車庫証明については、必要書類の確認、申請書類の作成、警察署への申請・受領などに対応しています。
単発の案件はもちろん、継続的なご依頼についてもご相談いただけます。
神奈川県内の車庫証明・自動車登録を依頼できる行政書士をお探しの自動車販売店様は、フリューゲル行政書士事務所までお気軽にお問い合わせください。
