会社で自動車を購入する場合など、法人名義で車庫証明を申請することがあります。
法人の車庫証明も基本的な手続は個人の場合と同じですが、本店以外の支店や営業所で自動車を使用する場合には、「申請者の住所」と「使用の本拠の位置」が異なることがあります。
また、申請書への法人代表者名の記載など、法人ならではの注意点もあります。
この記事では、法人が車庫証明を申請する場合の必要書類、使用の本拠の考え方、本店以外の支店・営業所で使用する場合の注意点などについて、行政書士が解説します。
※この記事は2026年8月時点の情報に基づいています。実際に申請する際は、申請先の警察署等の最新情報もご確認ください。
法人でも車庫証明は必要?
法人が登録自動車を使用する場合も、一定の場合には車庫証明(自動車保管場所証明)が必要です。
たとえば、
法人が新しく自動車を購入する
自動車の使用の本拠が変わる
中古車などの名義変更に伴って使用の本拠が変わる
といった場合です。
法人だから特別な車庫証明を取得するわけではなく、基本的な制度や保管場所の要件は個人の場合と同じです。
ただし、法人の場合には「申請者の住所」と「使用の本拠の位置」の違いを理解しておくことが重要です。
法人の車庫証明における「使用の本拠」とは
使用の本拠の位置とは、その自動車を実際に使用・管理する拠点のことです。
法人の場合は、実際に自動車を使用・管理する本店、支店、営業所などが使用の本拠となるのが一般的です。
たとえば、
本店で使用・管理する自動車
→ 本店所在地が使用の本拠
営業所で使用・管理する自動車
→ 営業所所在地が使用の本拠
となるのが基本です。
そのため、法人登記上の本店所在地にある駐車場しか車庫証明を取得できないわけではありません。
実際に営業活動を行っている支店や営業所などで自動車を使用する場合には、その所在地を使用の本拠として車庫証明を申請することができます。
本店と営業所が違う場合の申請書の書き方
法人の車庫証明で特に間違えやすいのが、「申請者」と「使用の本拠の位置」です。
たとえば、
本店:東京都
営業所:神奈川県横浜市
自動車を実際に使用する場所:横浜営業所
という会社を考えてみます。
この場合、
申請者
→ 法人の本店所在地・法人名・代表者の肩書き・代表者の氏名
使用の本拠の位置
→ 横浜営業所の所在地
保管場所の位置
→ 実際に自動車を保管する駐車場
という形になります。
申請者欄を横浜営業所の住所にしてしまわないよう注意が必要です。
法人の申請者欄には代表者名を書く
法人名義で車庫証明を申請する場合、申請者欄には法人名だけを書くのではありません。
神奈川県警の記載例では、法人の場合について、
法人の所在地
法人名
法人代表者の肩書き
法人代表者の氏名
を記載するよう案内されています。
たとえば、
「株式会社○○ 代表取締役 ○○○○」
といった形です。
法人名だけを記載して代表者名が抜けている場合には、申請時に補正を求められる可能性があります。
法人の車庫証明に必要な書類
法人の場合も、車庫証明の基本的な必要書類は個人の場合と大きく変わりません。
主に、
自動車保管場所証明申請書等
保管場所の所在図・配置図
自認書または保管場所使用承諾証明書
などを用意します。
ただし、法人の本店所在地と使用の本拠の位置が異なる場合には、使用の本拠に営業実態があることを確認できる資料が必要になることがあります。
神奈川県で車庫証明を申請する場合の必要書類・費用・受付時間などは、「神奈川県の車庫証明」の記事で詳しく解説しています。
本店以外の営業所・支店で申請する場合
法人の本店所在地と使用の本拠が同じ場合には比較的分かりやすいのですが、本店とは別の支店や営業所を使用の本拠として申請する場合には注意が必要です。
警察署から、その場所で実際に営業していることを確認できる資料の提出を求められることがあります。
たとえば、
営業所宛ての郵便物
公共料金の領収書
営業許可証など、その場所で事業を行っていることを確認できる資料
などです。
具体的にどの資料が必要になるかは申請内容によって異なる場合があるため、事前に申請先の警察署へ確認しておくと安心です。
確認資料がない場合はどうしたらいい?
使用の本拠を確認できる郵便物などが手元にない場合には、支店や営業所宛てに郵便物を送り、その郵便物を確認資料として使用できる場合があります。
ただし、申請先の警察署や申請内容によって求められる確認資料が異なる場合があるため、事前に確認しておくと安心です。
登記されていない営業所でも車庫証明は取れる?
営業所が法人登記されていないからといって、それだけで車庫証明を取得できないとは限りません。
重要なのは、その場所に実際の営業実態があり、自動車を使用・管理する拠点となっているかどうかです。
そのため、登記されていない営業所を使用の本拠とする場合には、郵便物や公共料金の領収書など、その場所で営業していることを確認できる資料が特に重要になります。
単に駐車場を借りているだけの場所や、営業実態のない場所を使用の本拠とすることはできません。
法人の車庫証明でも2km以内の要件がある
法人の場合も、保管場所は使用の本拠の位置から直線距離で2km以内である必要があります。
ここで基準になるのは、必ずしも法人の本店所在地ではありません。
たとえば、本店が東京都にあり、横浜営業所を使用の本拠として申請するのであれば、
横浜営業所から保管場所まで直線距離2km以内
である必要があります。
本店から横浜の駐車場まで2km以内である必要はありません。
法人所有の土地なら自認書?
保管場所の土地・建物を申請者である法人自身が所有している場合には、原則として自認書(保管場所使用権原疎明書面)を使用します。
一方、月極駐車場や賃貸物件の駐車場など、他人が所有する場所を使用する場合には、保管場所使用承諾証明書などによって使用権原を証明します。
つまり、
法人所有の土地・建物
→ 自認書
・・・法人自身が書く書類
他人所有の土地・建物
→ 保管場所使用承諾証明書等
・・・権原がある人が書く書類
という考え方です。
法人の車庫証明でよくある注意点
法人の申請では、特に次のような点に注意しましょう。
申請者欄に代表者名が記載されていない
法人名だけではなく、代表者の肩書き・氏名まで記載します。
本店所在地をそのまま使用の本拠にしている
実際には営業所で自動車を使用するのであれば、営業所が使用の本拠となる場合があります。
営業所の実態を確認できない
本店と使用の本拠が異なる場合には、営業実態を確認するための資料を求められることがあります。
駐車場が使用の本拠から2kmを超えている
2kmの基準は、申請者である法人の本店所在地ではなく、実際の使用の本拠から判断します。
法人の車庫証明を行政書士に依頼する場合
法人の車庫証明は、自社で申請することもできます。
一方で、
本店と使用の本拠が異なる
使用の本拠を証明する資料が分からない
自動車販売店から車庫証明の取得を求められている
平日に2回も警察署へ申請・受領に行くことが難しい
といった場合には、行政書士へ申請代行を依頼する方法があります。
特に複数台の社用車を管理している法人では、車庫証明だけでなく、自動車登録手続も含めて行政書士へ依頼することで担当者の負担を減らすことができます。
法人の車庫証明についてのまとめ
法人の車庫証明も、基本的な制度は個人の場合と同じです。
一方で、本店以外の支店・営業所で自動車を使用する場合には、
申請者の住所
使用の本拠の位置
保管場所の位置
を正しく区別することが重要です。
また、法人の申請者欄には法人名だけではなく、代表者の肩書き・氏名も記載します。
本店所在地と使用の本拠が異なる場合には、その場所で営業していることを確認できる資料が必要となる場合もあります。
法人の車庫証明では、「どこが使用の本拠になるのか」が判断のポイントになるケースも少なくありません。
法人の車庫証明・自動車登録のご相談
フリューゲル行政書士事務所では、法人名義の車庫証明・自動車登録に関するご相談を承っています。
本店とは異なる支店・営業所を使用の本拠とする車庫証明や、法人名義の自動車登録にも対応しています。
法人の車庫証明でお困りの場合は、フリューゲル行政書士事務所までお気軽にお問い合わせください。
