「月極駐車場を変更したけど、もう一度車庫証明を取り直す必要がある?」
車を所有している方が駐車場を変更したとき、このように疑問に思うことがあります。
結論からいうと、普通車などの登録自動車(以下「普通車」といいます)で使用の本拠の位置を変えず、駐車場だけを変更した場合は、原則として車庫証明を取り直すのではなく「保管場所変更の届出」を行います。
たとえば、自宅住所はそのままで、
「月極駐車場Aから自宅近くの月極駐車場Bへ変更した」
というケースです。
一方、引っ越しによって使用の本拠の位置そのものが変わった場合には、手続が異なります。
この記事では、神奈川県で普通車の駐車場を変更した方に向けて、
駐車場だけ変更した場合の手続
車庫証明を取り直すケースとの違い
保管場所変更届の期限
保管場所変更届に必要な書類
届出先
軽自動車の場合との違い
について、行政書士が解説します。
車庫証明の制度全体や必要書類、申請の流れについては、車庫証明の完全ガイドもご覧ください。
駐車場だけ変更した場合は車庫証明ではなく「保管場所変更届」
普通車について、使用の本拠の位置を変えずに保管場所の位置だけを変更した場合には、警察署へ保管場所の変更を届け出ます。
ここで重要なのが、「使用の本拠の位置が変わったかどうか」です。
たとえば、
自宅:横浜市旭区○○1丁目
旧駐車場:横浜市旭区○○2丁目
新駐車場:横浜市旭区○○3丁目
というように、自宅は変わらず駐車場だけを変更したのであれば、基本的には保管場所変更の届出となります。
普通車の車庫証明では「証明申請」を行いますが、このケースでは新しい保管場所について「届出」を行うという違いがあります。
「使用の本拠の位置」の考え方については、車庫証明の「使用の本拠の位置」とは?で詳しく解説しています。
引っ越しで住所も変わった場合は手続が違う
駐車場の変更と一緒に注意したいのが、引っ越しをした場合です。
普通車について、引っ越しなどによって使用の本拠の位置そのものが変更になる場合には、単なる保管場所変更届ではありません。
この場合には、変更登録などに伴って新しい使用の本拠について保管場所証明が必要になることがあります。
つまり、
変更内容 | 車庫関係の手続 |
|---|---|
使用の本拠はそのまま・駐車場だけ変更 | 保管場所変更の届出 |
引っ越しなどで使用の本拠も変更 | 保管場所証明申請が必要になる場合がある |
という違いがあります。
「駐車場が変わった」という事実だけで判断するのではなく、使用の本拠まで変わっているかを確認することがポイントです。
神奈川県で通常の車庫証明を取得する場合の手続については、神奈川県の車庫証明|必要書類・費用・申請方法を行政書士が解説もご覧ください。
保管場所変更届はいつまでに出す?
普通車について、使用の本拠の位置を変更せずに保管場所だけを変更した場合には、保管場所を変更した日から15日以内に届出を行う必要があります。
「次の車検までに手続すればいい」「自動車の名義や住所が変わっていないから手続は必要ない」というものではありません。
月極駐車場の契約変更などによって実際に自動車を保管する場所を変更した場合には、期限を過ぎないように手続を行いましょう。
保管場所変更届に必要な書類
神奈川県警察では、普通車の保管場所を変更する場合、主に次の書類を提出します。
自動車保管場所届出書・届出書データ入力原票
保管場所の所在図・配置図
保管場所使用権原疎明書面(自認書)または保管場所使用承諾証明書
これらの様式は、神奈川県警察の「自動車の保管場所(車庫)証明等の手続」ページからダウンロードできます。
神奈川県警察:自動車の保管場所(車庫)証明等の手続
同ページには、自動車保管場所届出書や所在図・配置図、自認書、保管場所使用承諾証明書の記載例も掲載されています。
自動車保管場所届出書
保管場所の変更では、車庫証明で使用する「自動車保管場所証明申請書」ではなく、「自動車保管場所届出書」を使用します。
神奈川県警察では、自動車保管場所届出書1通と届出書データ入力原票1通の2枚組が案内されています。
変更届の場合には、届出書の「変更」に○を付け、変更後の保管場所に加えて、変更前の保管場所も記載します。
車名・型式・車台番号などについては、車検証を確認しながら正確に記入しましょう。
保管場所の所在図・配置図
新しい駐車場について、所在図・配置図を作成します。
所在図では使用の本拠と駐車場の位置関係などを示し、配置図では駐車区画や道路との位置関係、出入口などを記載します。
月極駐車場の場合には、自分が使用する区画が分かるように記載しましょう。
詳しい記載方法については、車庫証明の所在図・配置図の書き方で解説しています。
自認書または保管場所使用承諾証明書
新しい駐車場を使用する権原を確認するための書類も必要です。
自分が所有する土地・建物を保管場所として使用する場合には、保管場所使用権原疎明書面(自認書)を使用します。
他人が所有する月極駐車場などを使用する場合には、保管場所使用承諾証明書などを使用します。
神奈川県警察では、契約内容によっては駐車場賃貸借契約書の写しを使用承諾証明書の代わりとして取り扱える場合があると案内しています。
両者の違いや使い分けについては、車庫証明の自認書と保管場所使用承諾証明書の違いで詳しく解説しています。
新しい駐車場にも保管場所の要件がある
駐車場を変更する場合でも、新しい保管場所は法律上の要件を満たす必要があります。
主な要件は、
道路上以外の場所であること
使用の本拠の位置から2kmを超えないこと
自動車全体を収容できること
道路から支障なく出入りできること
保管場所として使用する権原があること
です。
単に月極駐車場を契約すればよいわけではなく、その駐車場が自動車の保管場所としての要件を満たしている必要があります。
特に自宅から少し離れた月極駐車場へ変更する場合には、使用の本拠からの距離にも注意しましょう。
使用の本拠と保管場所の距離についても、車庫証明の「使用の本拠の位置」とは?で詳しく解説しています。
保管場所変更届はどこの警察署に出す?
届出先は、新しい保管場所の位置を管轄する警察署です。
使用者の住所を管轄する警察署ではなく、保管場所を基準に判断します。
そのため、駐車場の変更によって管轄警察署そのものが変わるケースもあります。
横浜市内で届出をする場合の区ごとの管轄警察署については、横浜市の車庫証明|区ごとの管轄警察署・交付日数・申請方法でまとめています。
神奈川県警察の窓口受付時間は、原則として平日の
午前9時から正午、午後1時から午後4時まで
です。
祝日と12月29日から1月3日は除かれます。
なお、通常の車庫証明については警察署によって交付までの日数が異なります。当事務所では、神奈川県内全54警察署の車庫証明交付日数を調査して一覧にまとめています。
横浜市旭区での車庫証明手続については、横浜市旭区の車庫証明|旭警察署への申請方法でも解説しています。
保管場所変更届に手数料はかかる?
神奈川県警察の現在の案内では、普通車の保管場所変更届について、車庫証明申請のような証明書交付申請手数料はかかりません。
通常の車庫証明では、神奈川県の場合、自動車保管場所証明書交付申請手数料として2,100円が必要です。
一方、駐車場だけを変更する保管場所変更届では、新たな保管場所証明書の交付を受ける手続ではありません。
この点も、通常の車庫証明申請との違いです。
保管場所変更届はオンラインでもできる
自動車の保管場所届出については、e-Gov電子申請を利用してオンラインで手続する方法もあります。
警察署の窓口へ行く方法だけではありません。
ただし、通常の普通車について登録手続などと一括して行う「自動車保有関係手続のワンストップサービス(OSS)」による車庫証明の電子申請とは別の仕組みです。
オンラインで手続する場合には、どの電子申請を利用する手続なのかを確認しましょう。
軽自動車の駐車場を変更した場合は?
軽自動車についても、届出後に保管場所を変更した場合には、届出対象地域では保管場所届出が必要になります。
ただし、軽自動車は普通車のように最初から「保管場所証明」を取得する制度ではなく、一定の地域で保管場所を「届出」する制度です。
そのため、普通車の保管場所変更届とは制度上の位置づけが少し異なります。
神奈川県で軽自動車の保管場所届出が必要になる地域や必要書類については、軽自動車の車庫証明は必要?神奈川県の保管場所届出を行政書士が解説で詳しく解説しています。
車庫証明と保管場所変更届の違い
ここまでの違いを整理すると、次のようになります。
車庫証明 | 保管場所変更届 | |
|---|---|---|
主なケース | 新規登録・使用の本拠の変更など | 使用の本拠を変えず駐車場だけ変更 |
手続 | 保管場所証明申請 | 保管場所の変更届出 |
届出期限 | ― | 保管場所を変更した日から15日以内 |
警察署 | 保管場所を管轄する警察署 | 新しい保管場所を管轄する警察署 |
証明書の交付 | あり | なし |
後日の証明書受取 | あり | なし |
神奈川県の証明書交付申請手数料 | 2,100円 | なし |
「駐車場を変更した=もう一度車庫証明を取り直す」と考えがちですが、使用の本拠を変えずに保管場所だけ変更したのであれば、手続は保管場所変更の届出です。
通常の車庫証明そのものについて必要書類から申請方法まで確認したい方は、神奈川県の車庫証明|必要書類・費用・申請方法を行政書士が解説をご覧ください。
まとめ|駐車場だけ変更した場合は保管場所変更届を確認しよう
普通車について、使用の本拠の位置を変えずに駐車場だけを変更した場合には、原則として車庫証明を取り直すのではなく、保管場所変更の届出を行います。
届出は、保管場所を変更した日から15日以内に行う必要があります。
一方、引っ越しなどによって使用の本拠の位置まで変更した場合には、通常の車庫証明が必要になるケースがあります。
判断するときのポイントは、
「駐車場だけが変わったのか」
「使用の本拠も変わったのか」
という違いです。
保管場所変更届では、自動車保管場所届出書、所在図・配置図、自認書または保管場所使用承諾証明書などを準備し、新しい保管場所を管轄する警察署へ届け出ます。
駐車場を変更したときは、単に月極駐車場の契約を変更して終わりにせず、自動車の保管場所に関する届出も確認しておきましょう。
