車庫証明を申請するときには、その駐車場を使用する権限があることを確認するための書類が必要になります。
代表的なのが、
保管場所使用権原疎明書面(自認書)
保管場所使用承諾証明書
の2つです。
名前が似ているため分かりにくいのですが、基本的な違いはシンプルです。
申請者自身が所有する土地・建物を駐車場として使用する場合は「自認書」、他人が所有する土地・建物を使用する場合は「保管場所使用承諾証明書」などを使用します。
ただし、同居の親族が所有する土地・建物を使用する場合など、都道府県警察によって取扱いが異なるケースもあります。
この記事では、自認書と保管場所使用承諾証明書の違いと、自宅・家族名義・月極駐車場・共有名義など、ケースごとにどの書類を用意すればよいのかを行政書士が解説します。
車庫証明の必要書類や申請手続き全体について確認したい方は、先に「車庫証明の完全ガイド|必要書類・書き方・申請方法を実務経験豊富な行政書士が解説」をご覧ください。
自認書と保管場所使用承諾証明書の違い
まずは、2つの書類の違いを整理しましょう。
自認書
正式には「保管場所使用権原疎明書面」といいます。
申請者自身が所有している土地や建物を、自動車の保管場所として使用する場合に作成する書類です。
つまり、
「この駐車場は自分が所有しており、自動車の保管場所として使用できます。」
ということを申請者自身が申告するための書類です。
保管場所使用承諾証明書
申請者以外の人が所有・管理する土地や建物を、自動車の保管場所として使用する場合に使用する書類です。
土地の所有者や駐車場の管理者などから、
「この人がこの場所を自動車の保管場所として使用することを承諾しています。」
という証明を受けます。
したがって、自分で自由に作成する書類ではなく、原則として保管場所について承諾する権限を持つ所有者や管理者などに作成してもらいます。
自宅の駐車場なら自認書?
自宅の敷地内に駐車する場合でも、必ず自認書になるわけではありません。
重要なのは、
「その土地・建物を誰が所有しているか」
です。
自分が所有している場合
申請者自身が所有している土地・建物であれば、自認書を使用します。
例えば、自分名義の一戸建てにある駐車スペースを保管場所にするケースです。
親や配偶者など家族が所有している場合
土地・建物が親や配偶者など申請者以外の名義である場合、一般的には所有者から保管場所使用承諾証明書を取得する方法があります。
ただし、同居している親族の場合には、申請する都道府県によって別の取扱いが認められていることがあります。
例えば神奈川県警察では、申請者が自認書を作成する方の同居親族である場合、自認書の余白に、
「申請者○○○○は、私の同居の長男です。」
などと記載して提出する方法が案内されています。
つまり神奈川県では、親名義の自宅に同居している子どもが車庫証明を申請する場合などに、必ずしも別途「保管場所使用承諾証明書」を作成する方法だけではなく、土地・建物の所有者である親が自認書を作成し、申請者が同居親族である旨を記載する方法もあります。
一方、警視庁では、子どもが親名義の土地・建物を保管場所とする場合には、土地所有者である親の「保管場所使用承諾証明書」が必要と案内されています。
このように同居親族の場合の取扱いには地域差があるため、申請先の都道府県警察や警察署の案内を確認することが重要です。
家族名義の土地なら保管場所使用承諾証明書?
家族名義の土地を使用する場合には、申請者自身の単独所有ではないため、原則的には所有者から使用権原を確認できる書類を用意します。
例えば、
父親名義の土地を子どもが使用する
配偶者名義の土地を使用する
親族名義の土地を使用する
といったケースです。
一般的には、所有者から保管場所使用承諾証明書を取得する方法があります。
ただし、前述したように、神奈川県では同居親族について自認書を利用する方法も案内されています。
したがって、「家族名義=必ず保管場所使用承諾証明書」と決めつけず、同居の有無と申請先の取扱いを確認しましょう。
土地や建物が共有名義の場合は?
注意したいのが共有名義です。
例えば、
夫婦で土地を共有している
親子で土地を共有している
相続によって複数人の共有になっている
といったケースです。
申請者自身も共有者の一人であれば、自認書だけでよいのか迷うところです。
共有の場合の具体的な取扱いは申請先の警察署の案内を確認する必要がありますが、神奈川県警察では、土地・建物が共有の場合には、自認書のほかに他の共有者全員の承諾書を添付するよう案内しています。
自認書の余白に記載できる場合には、共有者全員の住所・氏名を連記する方法も案内されています。
このとき、共有者同士が同居していて住所が同じ場合でも、それぞれの共有者について住所・氏名を記載しておくとよいでしょう。「同上」などと省略するよりも、それぞれの共有者について住所と氏名を明確に記載しておく方が、誰が承諾しているのか分かりやすくなります。
共有名義の場合には、申請前に共有者を確認しておきましょう。
月極駐車場の場合は?
月極駐車場を借りている場合には、申請者自身が駐車場を所有しているわけではありません。
そのため、保管場所使用承諾証明書など、駐車場を使用する権限を確認できる書類を用意します。
保管場所使用承諾証明書には一般的に、
保管場所の位置
使用者の住所・氏名
使用期間
所有者や管理者など承諾する権限を持つ方の住所・氏名
などを記載します。
駐車場に管理会社が入っている場合などは、誰に保管場所使用承諾証明書の作成を依頼すればよいか、契約先や管理会社へ確認するとよいでしょう。
なお、保管場所は使用の本拠の位置から一定の距離内にあることなどの要件を満たす必要があります。
また、車庫証明では使用権原を確認する書類のほかに、保管場所の位置や駐車区画を示す所在図・配置図も必要です。
また、使用の本拠の位置を変えずに月極駐車場だけを変更した場合には、新たな車庫証明ではなく保管場所変更の届出となります。
関連記事:車庫証明の所在図・配置図の書き方|記入例と注意点を行政書士が解説
関連記事:駐車場を変更したら車庫証明は必要?保管場所変更届を行政書士が解説
駐車場の賃貸借契約書でも代用できる?
他人所有の駐車場だからといって、必ず保管場所使用承諾証明書そのものを提出しなければならないとは限りません。
駐車場の賃貸借契約書の写しを、保管場所使用承諾証明書に代わる使用権原を確認するための書類として提出できる場合があります。
ただし、「賃貸借契約書があれば全国どこでも必ず代用できる」という意味ではありません。
契約書の内容によっては、保管場所の位置、使用者、使用期間など、車庫証明の申請に必要な事項を十分に確認できないことがあります。
また、申請先によって具体的な取扱いが異なる場合もあります。
そのため、賃貸借契約書の写しを使用して申請したい場合には、契約書の内容を確認したうえで、事前に申請先の警察署へ確認しておくと確実です。
アパート・マンションの駐車場の場合は?
賃貸マンションやアパートに付属する駐車場を利用している場合も、基本的には申請者自身が駐車場を所有しているわけではありません。
そのため、保管場所使用承諾証明書などによって使用する権限を確認します。
ただし、駐車場について必要な事項が記載された賃貸借契約書の写しなどによって、使用権原を確認できる場合もあります。
前述したとおり、賃貸借契約書で申請できるかどうかは、契約書の記載内容や申請先の取扱いを確認する必要があります。
一方、分譲マンションの駐車場では、マンション管理組合などから保管場所使用承諾証明書を取得するケースがあります。
マンションによって管理方法が異なるため、管理会社や管理組合へ確認するとよいでしょう。
会社の駐車場を使用する場合は?
法人や会社関係の車庫証明では、所有関係が少し複雑になることがあります。
例えば、
法人所有の土地を法人名義の自動車で使用する
会社が借りている駐車場を使用する
会社の社宅にある駐車場を使用する
代表者個人所有の土地を法人の自動車で使用する
など、さまざまなケースがあります。
「会社の駐車場だから自認書」と一律に判断するのではなく、申請者と保管場所の所有者・契約者との関係を確認することが重要です。
法人の場合には、申請者の所在地と実際に自動車を使用・管理する場所である「使用の本拠の位置」が異なるケースもあります。
この点についても、「車庫証明の『使用の本拠の位置』とは?住所との違いや確認方法を行政書士が解説」で詳しく解説しています。
所有関係や契約関係が複雑な場合には、申請先の警察署へ確認したうえで書類を準備するとよいでしょう。
関連記事:法人の車庫証明|必要書類や使用の本拠を行政書士が解説
保管場所使用承諾証明書は自分で書いてもいい?
保管場所使用承諾証明書は、保管場所を使用することについて所有者や管理者などが承諾したことを証明する書類です。
そのため、申請者が所有者などに無断で作成するものではありません。
駐車場の所有者や、承諾する権限を委託されている管理者などに作成を依頼します。
月極駐車場の場合には、管理会社へ依頼すると発行手数料が必要になる場合もあります。
保管場所使用承諾証明書の「使用期間」に注意
保管場所使用承諾証明書には「使用期間」を記載する欄があります。
ここで特に注意したいのが、使用期間の開始日と車庫証明の申請日の関係です。
基本的には、申請時点でその駐車場を使用する権原を有していることが必要になるため、使用期間の開始日前には申請できない取扱いとなっている地域があります。
一方で、使用開始日前でも事前に申請を受理する取扱いをしている地域もあります。
このように、使用開始日前の申請を認めるかどうかや、何日前から申請できるかについては地域によって取扱いが異なります。
そのため、これから契約が始まる月極駐車場などで車庫証明を急いで取得したい場合には、申請先の警察署へ事前に確認するとよいでしょう。
また、使用期間については開始日だけでなく、申請後も一定期間その駐車場を使用できることを求める地域があります。
保管場所使用承諾証明書を作成してもらう際には、「いつから使えるのか」「いつまで使えるのか」まで確認しておくことが重要です。
保管場所使用承諾証明書は作成日が古すぎると使えないことがある
保管場所使用承諾証明書では、「使用期間」だけでなく書類そのものをいつ作成したかにも注意が必要です。
都道府県警察によっては、作成日から一定期間以内の保管場所使用承諾証明書を提出するよう案内しています。
例えば、大阪府警察では「作成の日からおおむね3か月以内」、愛知県警察や静岡県警察では「作成の日から3か月以内」のものを用意するよう案内しています。
そのため、以前取得した保管場所使用承諾証明書が手元に残っていたとしても、作成から長期間経過している場合には、そのまま使用できるとは限りません。
一方で、作成日からの有効期間について全国一律に同じ基準が設けられているわけではありません。
古い保管場所使用承諾証明書を使用する場合には、申請先の警察署の取扱いを確認し、必要であれば改めて所有者や管理会社などに作成を依頼しましょう。
自認書と保管場所使用承諾証明書で迷ったら「所有者」を確認する
どちらの書類を使用するか迷ったときは、まず保管場所の所有者を確認してみましょう。
基本的には、
申請者自身の所有 → 自認書
申請者以外の所有 → 保管場所使用承諾証明書など
と考えると分かりやすくなります。
ただし、同居親族、共有名義、マンション、会社関係などでは、地域の取扱いや所有・管理・契約関係によって必要な書類が変わることがあります。
特に同居親族については、神奈川県のように自認書を利用する方法を案内している地域もあります。
神奈川県で車庫証明を申請する場合の必要書類や手続きについては、「神奈川県の車庫証明|必要書類・費用・申請方法を行政書士が解説」もあわせてご覧ください。
まとめ|自分の土地なら自認書、他人の土地なら使用承諾証明書が基本
車庫証明では、その駐車場を自動車の保管場所として使用する権限があることを確認するための書類が必要です。
基本的な考え方は、
申請者自身が所有する土地・建物 → 自認書
他人が所有・管理する土地・建物 → 保管場所使用承諾証明書など
となります。
ただし、同居している家族名義の土地については地域によって取扱いが異なります。
神奈川県では、土地・建物の所有者が自認書を作成し、その余白に申請者が同居親族である旨を記載する方法が案内されています。
また、共有名義、月極駐車場、マンション、法人などでも、それぞれの所有関係や契約関係を確認する必要があります。
賃貸駐車場についても、賃貸借契約書の写しを使用権原を確認する書類として利用できる場合がありますが、全国一律に無条件で認められるとは限りません。
さらに、使用承諾証明書については、使用開始日だけでなく、書類の作成日が古すぎないかにも注意が必要です。
「自宅かどうか」だけではなく、「誰が保管場所を所有・管理していて、申請者にはどのような使用権限があるのか」を確認することが、自認書と保管場所使用承諾証明書を判断するポイントです。
保管場所の位置や駐車区画を示す書類については、「車庫証明の所在図・配置図の書き方」をご覧ください。
車庫証明の申請書そのものの記入方法については、「車庫証明の申請書の書き方|行政書士が記入例と注意点を解説」をご覧ください。
車庫証明の手続き全体を確認したい方は、「車庫証明の完全ガイド」に戻って確認できます。
