車庫証明の「使用の本拠の位置」とは?住所との違いや確認方法を行政書士が解説

車庫証明の申請書には、「自動車の使用の本拠の位置」という欄があります。

普段あまり使わない言葉なので、

  • 使用の本拠の位置とはどこのこと?

  • 自宅の住所を書けばいい?

  • 住民票の住所と違ってもいい?

  • 法人の場合は本店所在地を書く?

  • 単身赴任先で車を使っている場合はどうなる?

など、迷う方も多いのではないでしょうか。

「使用の本拠の位置」は、車庫証明を考えるうえで非常に重要な概念です。

保管場所との距離だけでなく、車庫証明や軽自動車の保管場所届出が必要な地域かどうかを判断する際にも関係します。

この記事では、車庫証明における「使用の本拠の位置」について、行政書士が分かりやすく解説します。

車庫証明の必要書類や申請方法など、制度全体については「車庫証明の完全ガイド」で詳しく解説しています。


車庫証明の「使用の本拠の位置」とは?

「使用の本拠の位置」とは、簡単にいえば、その自動車を使用・管理する拠点となる場所です。

原則として、自動車の保有者その他自動車の管理責任者の所在地をいい、通常、

  • 個人の場合:住所または居所

  • 法人の場合:事務所の所在地

となります。

神奈川県警察も、使用の本拠の位置について「個人の場合は、住所地又は居所で、法人の場合は、事務所の所在地」と案内しています。

ここで重要なのは、「申請者の住所」と「使用の本拠の位置」が必ずしも同じとは限らないということです。


「使用の本拠の位置」と「住所」は何が違う?

個人が自宅で生活し、そこを拠点として自動車を使用している一般的なケースでは、

住所=使用の本拠の位置

となることが多いでしょう。

しかし、「使用の本拠の位置」は単純に住民票に記載されている住所だけで決まるものではありません。

警察庁の通達では、保有者が自然人の場合の住所について、その自動車を使用して営む生活の事実上の根拠地となっている場所とし、多くの場合は住民票に記載されている住所と一致すると説明されています。

つまり、住民票の住所は重要な判断材料になりますが、実際にどこを生活・自動車使用の拠点としているのかという実態も重要になります。

関連記事:車庫証明の申請書の書き方|行政書士が記入例と注意点を解説


「使用の本拠の位置」と「保管場所の位置」は違う

車庫証明では、

使用の本拠の位置

と

保管場所の位置

を区別して考える必要があります。

使用の本拠の位置は、自動車を使用・管理する拠点です。

一方、保管場所の位置は、実際にその自動車を駐車・保管する場所です。

例えば、

  • 自宅:使用の本拠の位置

  • 自宅から500m離れた月極駐車場:保管場所の位置

というケースがあります。

この場合、2つの位置は異なります。

車庫証明の保管場所は、使用の本拠の位置から2kmを超えない場所に確保する必要があります。

なお、使用の本拠の位置は変わらず、保管場所だけを変更した場合には、通常の車庫証明申請ではなく保管場所変更の届出となります。

関連記事:駐車場を変更したら車庫証明は必要?保管場所変更届を行政書士が解説


使用の本拠の位置から保管場所までは2km以内

車庫証明の保管場所には一定の要件があります。

その一つが、

使用の本拠の位置と保管場所との距離が2kmを超えないこと

です。

つまり、「自宅から駐車場まで2km」というより、正確には「使用の本拠の位置から保管場所まで2km」ということになります。

個人で住所と使用の本拠の位置が同じ場合には結果的に自宅が基準になりますが、法人の営業所などが使用の本拠となる場合には、その営業所などが距離の基準になります。

関連記事:車庫証明の所在図・配置図の書き方


個人の場合の使用の本拠の位置

個人の場合、通常は自宅の住所が使用の本拠の位置となります。

例えば、自宅で生活し、自宅を拠点として通勤や買い物などに自動車を使用しているのであれば、自宅を使用の本拠の位置とするのが一般的です。

一方で、住所地と実際の生活拠点が異なるケースでは、判断が単純ではない場合があります。

単身赴任などで住民票を移していない場合

例えば、住民票は家族が暮らしている自宅に残したまま、別の地域へ単身赴任し、赴任先の住居を拠点として自動車を使用するケースがあります。

このような場合、住民票の住所だけではなく、実際の生活や自動車の使用実態を踏まえて使用の本拠の位置を判断することになります。

申請者の住所地と使用の本拠の位置が異なる場合には、その理由や使用実態について警察から確認を受ける場合があります。

その際、使用の本拠の位置における生活実態などを確認する資料として、例えば次のようなものがあります。

  • 電気・ガスなど公共料金の領収書

  • 使用の本拠の位置宛ての消印のある郵便物

ただし、実際にどのような資料が必要になるかは、申請内容や申請先の警察署によって異なる場合があります。

住民票上の住所と使用の本拠の位置が異なる場合には、申請前に管轄警察署へ確認しておくと安心です。


法人の場合の使用の本拠の位置

法人の場合は、事務所の所在地が使用の本拠の位置となります。

ただし、法人の「本店所在地」だけを機械的に記載すればよいとは限りません。

例えば、

  • 本店は東京都

  • 横浜市に営業所がある

  • 自動車は横浜市の営業所に配置されている

  • 日常的な使用・管理も横浜市の営業所で行っている

というケースがあります。

この場合には、実際に自動車を使用・管理している営業所が使用の本拠の位置となることがあります。

法人の車庫証明では、本店所在地と実際の自動車の使用・管理拠点が異なるケースもあるため、実態を確認することが重要です。

関連記事:法人の車庫証明|必要書類や使用の本拠を行政書士が解説


申請者の住所と使用の本拠の位置が違う場合はどうする?

申請者の住所と使用の本拠の位置が異なること自体をもって、直ちに車庫証明を申請できないというわけではありません。

ただし、警察庁は、申請者の住所地と自動車の使用の本拠の位置が異なる場合には、その理由などについて確認する場合があると案内しています。

そのため、

「なぜこの場所が使用の本拠の位置なのか」

を説明できることが重要です。

使用の本拠の実態を確認するため、公共料金の領収書や、その場所に届いた消印のある郵便物などの提示を求められることがあります。

具体的に必要となる資料はケースや申請先によって異なることがあるため、住所と使用の本拠の位置が異なる場合には、管轄警察署へ事前に確認することをおすすめします。

関連記事:車庫証明の申請書の書き方|行政書士が記入例と注意点を解説


使用の本拠の位置は車庫証明の要否にも関係する

使用の本拠の位置は、単に申請書へ記載する住所のようなものではありません。

車庫証明が必要な地域かどうかを判断する際にも関係します。

警察庁も、自動車の使用の本拠の位置によって、自動車保管場所証明書が不要となる地域があると案内しています。

つまり、

「駐車場がどこにあるか」だけで車庫証明の要否を判断するわけではない

という点には注意が必要です。

神奈川県で車庫証明を取得する場合の必要書類や申請方法、費用などについては、「神奈川県の車庫証明|必要書類・費用・申請方法を行政書士が解説」で詳しく解説しています。


軽自動車の保管場所届出も「使用の本拠の位置」で判断する

軽自動車の場合、登録自動車の車庫証明とは異なり、対象地域では保管場所の届出を行います。

この届出が必要な地域かどうかについても、基準となるのは「使用の本拠の位置」です。

一方、実際に届出をする警察署については、「保管場所の位置」を管轄する警察署となります。

したがって、

届出が必要かどうか
→ 使用の本拠の位置

どこの警察署へ届け出るか
→ 保管場所の位置

と整理すると分かりやすいでしょう。

関連記事:軽自動車の車庫証明は必要?神奈川県の保管場所届出を行政書士が解説


車庫証明の申請先は「使用の本拠の位置」ではない

ここも間違えやすいポイントです。

車庫証明では「使用の本拠の位置」が重要ですが、申請先となる警察署を決める基準は使用の本拠の位置ではありません。

車庫証明は、自動車の保管場所の位置を管轄する警察署へ申請します。

例えば、自宅と月極駐車場が別の警察署の管轄区域にある場合には、保管場所である月極駐車場を管轄する警察署が申請先となります。

関連記事:横浜市の車庫証明|区ごとの管轄警察署・交付日数・申請方法


使用の本拠の位置を偽って申請してはいけない

実際には使用の本拠ではない場所を使用の本拠として申請するなど、事実と異なる内容で車庫証明を取得してはいけません。

警察では、自動車の使用の本拠の位置や保管場所の位置などを偽って保管場所証明を受ける、いわゆる「車庫とばし」の取締りも行っています。

使用の本拠の位置について判断に迷う場合には、都合のよい場所を記載するのではなく、実際の使用・管理状況を整理したうえで確認することが重要です。


まとめ|使用の本拠の位置は「自動車を使用・管理する拠点」

車庫証明における「使用の本拠の位置」は、簡単にいえば自動車を使用・管理する拠点となる場所です。

一般的には、

  • 個人:住所または居所

  • 法人:事務所の所在地

となります。

個人の場合には住所と一致するケースが多いものの、単身赴任などでは異なる場合があります。

法人の場合も、本店所在地ではなく、実際に自動車を使用・管理している営業所などが使用の本拠となるケースがあります。

また、使用の本拠の位置は、

  • 保管場所との2km要件

  • 車庫証明が必要な地域かどうか

  • 軽自動車の保管場所届出が必要な地域かどうか

などにも関係する重要な概念です。

一方、車庫証明の申請先は「使用の本拠の位置」ではなく、保管場所の位置を管轄する警察署です。

使用の本拠の位置と住所が異なる場合や、法人で本店とは別の営業所を使用の本拠とする場合など、判断に迷うケースでは、実際の自動車の使用・管理状況を確認したうえで手続きを進めましょう。

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