車庫証明を申請するときに、申請書などと一緒に提出する書類の一つが「保管場所の所在図・配置図」です。
名前が似ているため、
「所在図と配置図は何が違うの?」
「地図を印刷して使ってもいい?」
「駐車場の寸法はどこまで測ればいい?」
と迷う方も多いのではないでしょうか。
所在図と配置図は、どちらも駐車場に関する図面ですが、確認する目的が異なります。
所在図:使用の本拠の位置と駐車場が「どこにあるか」を示す
配置図:駐車場の「形状や位置、寸法など」を示す
この記事では、車庫証明を日常的に取り扱っている行政書士が、所在図・配置図の書き方と注意点を実務的な視点から解説します。
車庫証明の手続全体について確認したい方は、先に車庫証明の完全ガイドをご覧ください。
車庫証明の「所在図」と「配置図」の違い
所在図と配置図は、通常1枚の用紙にまとめて記載します。
ただし、それぞれ役割が異なります。
所在図とは
所在図は、主に次の位置関係を確認するための図面です。
自動車の使用の本拠の位置
自動車の保管場所
周辺の道路
駅や店舗など目標となる建物・施設
使用の本拠の位置から保管場所までの距離
簡単にいえば、「使用の本拠の位置と駐車場がどこにあるのか」を確認するための地図です。
車庫証明では、保管場所が使用の本拠の位置から直線距離で2km以内にあることが要件となっています。
そのため、使用の本拠の位置と保管場所が異なる場合には、その位置関係が分かるように記載します。
「使用の本拠の位置」について詳しくは、車庫証明の「使用の本拠の位置」とは?住所との違いや確認方法を行政書士が解説で解説しています。
配置図とは
配置図は、実際に自動車を保管する場所の状況を示す図面です。
一般的には、
敷地
建物
駐車する位置
駐車スペースの寸法
出入口
出入口の幅
駐車場に接する道路
駐車場に接する道路の幅員
などを記載します。
警察は配置図などをもとに、申請した自動車をその場所に支障なく保管できるかを確認します。
したがって、単に「ここが駐車場です」と場所を示すだけではなく、駐車スペースの大きさや道路との位置関係が分かるように作成することが重要です。
神奈川県の所在図・配置図の様式
神奈川県で車庫証明を申請する場合、「保管場所の所在図・配置図」の様式は神奈川県警察のホームページから入手できます。
これから所在図・配置図を作成する方は、公式の様式をダウンロードして使用するとよいでしょう。
なお、所在図・配置図以外の必要書類や申請方法、手数料などについては、神奈川県の車庫証明|必要書類・費用・申請方法を行政書士が解説でまとめています。
所在図の書き方
使用の本拠の位置を記載する
まず、自動車の「使用の本拠の位置」を所在図上に示します。
個人の場合は自宅、法人の場合は実際にその自動車を使用・管理する営業所などになることが一般的です。
使用の本拠の位置と駐車場が同じ場所であれば、同じ地点になります。
使用の本拠の位置の考え方については、車庫証明の「使用の本拠の位置」とは?住所との違いや確認方法を行政書士が解説でも詳しく解説しています。
保管場所の位置を記載する
次に、実際に自動車を駐車する保管場所を記載します。
月極駐車場など、自宅と駐車場が離れている場合には、
「使用の本拠の位置」と「保管場所の位置」の両方
が分かるようにします。
なお、使用の本拠の位置を変えず、駐車場だけを変更した場合には、通常の車庫証明申請ではなく保管場所変更の届出となります。
関連記事:駐車場を変更したら車庫証明は必要?保管場所変更届を行政書士が解説
周辺の道路や目標物を記載する
所在図は、警察が場所を確認できる程度に周辺状況が分かる必要があります。
例えば、
駅
コンビニ
スーパー
学校
郵便局
大きな交差点
幹線道路
など、場所を特定しやすい目標物を記載すると分かりやすくなります。
「初めてその地域に行く人でも、所在図を見ながら使用の本拠の位置と保管場所までたどり着けるか」
という視点で作成するとよいでしょう。
使用の本拠から保管場所までの距離を書く
使用の本拠の位置と保管場所が異なる場合には、それぞれの位置を明示し、両地点を直線で結んで距離を記載します。
車庫証明では、保管場所が使用の本拠の位置から直線距離で2km以内であることが要件です。
道路に沿った走行距離ではない点に注意しましょう。
所在図は地図を使って作成してもいい?
所在図については、必ず手書きで作成しなければならないわけではありません。
警察庁では、保管場所付近の道路や目標となる地物を確認できる既存の地図の写し等を使用する方法も案内しています。
そのため、地図を利用して所在図を作成することもできます。
ただし、地図を使用する場合でも、
使用の本拠の位置
保管場所の位置
両地点の距離
など、申請に必要な情報が分かるようにしておきましょう。
また、インターネット上の地図サービスを利用する場合には、各サービスの利用規約や著作権にも注意が必要です。
配置図の書き方
配置図では、実際の駐車場の状況をできるだけ分かりやすく表します。
絵の上手さは必要ありません。
重要なのは、警察が駐車場の形状や寸法、道路との位置関係を確認できることです。
建物と駐車場の位置を書く
自宅の敷地内に駐車する場合には、
建物
敷地
駐車スペース
道路
の位置関係が分かるように記載します。
月極駐車場の場合には、駐車場全体の形と、自分が使用する区画を記載します。
「○番」「No.○」など区画番号がある場合は、その番号も記載しておくと分かりやすいでしょう。
月極駐車場を使用する場合には、配置図だけでなく、保管場所を使用する権原を確認するための書類も必要です。
駐車スペースの寸法を書く
駐車スペースには、幅と奥行きを記載します。
例えば、
幅2.5m
奥行き5.5m
といった形です。
申請する自動車が駐車スペース内に収まることを確認できるようにします。
また、自走式立体駐車場や建物内の駐車場、ビルトインガレージ、カーポートなど、高さに制限がある駐車場では、駐車可能な高さについても確認して記載しましょう。
平面上では十分なスペースがあっても、申請する自動車の高さが制限を超えていれば、その場所に自動車を保管することはできません。
特にSUVやミニバンなど車高の高い自動車の場合は、幅や奥行きだけでなく、高さについても実際に駐車できるか確認することが重要です。
車両の長さ・幅・高さを申請書へ記載するときの注意点については、車庫証明の申請書の書き方|行政書士が記入例と注意点を解説でも解説しています。
駐車場の出入口を書く
駐車場が道路と接している部分について、どこから自動車が出入りするのかが分かるように記載します。
出入口の幅も記載しましょう。
特に、
間口が狭い
塀や門柱がある
駐車場の前の道路が狭い
といった場所では、実際に車が出入りできることが分かるように作成することが重要です。
駐車場に接する道路の幅を書く
配置図では、駐車場に接する道路について道路幅員を記載します。
例えば、
「公道 幅員4.0m」
などと記載します。
道路が狭い場合には、駐車スペースだけでなく、そこまで自動車が支障なく出入りできるかという点も重要になります。
機械式駐車場の場合は決められた車両制限に注意
マンションなどの機械式駐車場では、
全長
全幅
全高
重量
などについて制限が設けられていることがあります。
これらの車両制限についても、配置図に記載する必要があります。
特にSUVや背の高い車では、高さ制限に注意が必要です。
機械式駐車場の車両制限については、管理会社に直接確認するようにしましょう。
配置図を書くときによくあるミス
駐車スペースの寸法を書いていない
配置図で特に重要なのが、駐車スペースの寸法です。
駐車場所だけを四角で囲み、「駐車場」と書いただけでは、申請車両が収まるか確認できません。
幅と奥行きを測って記載しましょう。
また、建物内の駐車場やビルトインガレージ、カーポートなど、上部に制限がある場合には高さも確認しておきましょう。
機械式駐車場の場合も、上述のとおり注意が必要です。
道路の幅を書いていない
駐車場に接する道路の幅員も忘れやすいポイントです。
配置図を作成するときは、
駐車区画の寸法・出入口の幅員・道路幅員
をまとめて確認すると漏れを防ぎやすくなります。
月極駐車場で自分の区画が分からない
月極駐車場では、駐車場全体だけを描いても、どの区画を使用するのか分からないことがあります。
自分が使用する区画を明確にし、区画番号があれば記載しましょう。
車庫証明では申請後に保管場所の現地調査が行われるため、調査する人が申請した駐車区画を特定できるようにしておくことが重要です。
区画番号がない駐車場の場合には、配置図を見ればどの場所を使用するのか分かるよう、周囲の建物や他の駐車区画との位置関係をできるだけ明確に記載しましょう。
車のサイズぎりぎりの駐車場
駐車スペースは、申請する自動車の全体を収容できる必要があります。
そのため、車両寸法と駐車スペースの寸法がほぼ同じ場合には注意が必要です。
配置図を作成する前に、実際に寸法を測って確認しておきましょう。
所在図・配置図は現地を確認して作成するのがおすすめ
所在図は地図を利用して作成できますが、配置図については実際の駐車場を確認して作成することをおすすめします。
現地を確認すると、
駐車スペースの幅・奥行き
高さ制限の有無
出入口の幅
接する道路の幅
塀や門柱
駐車区画番号
など、図面だけでは分からない情報を確認できます。
特に月極駐車場では、契約書に記載された区画と実際の区画を間違えないよう注意しましょう。
まとめ|所在図は「場所」、配置図は「駐車場の形」を示す
所在図と配置図は、どちらも車庫証明で使用する図面ですが、役割が異なります。
所在図では、
使用の本拠の位置
保管場所の位置
周辺道路・目標物
両地点の距離
を確認できるようにします。
一方、配置図では、
駐車する場所
駐車スペースの寸法
必要に応じた高さ
出入口
出入口の幅員
接する道路
接する道路の幅員
周囲の建物など
を確認できるようにします。
所在図は「使用の本拠の位置と保管場所がどこにあるか」、配置図は「その駐車場に車を保管できるか」を示すもの、と考えると分かりやすいでしょう。
車庫証明では、図面だけでなく申請書や保管場所を使用する権原を証明する書類なども必要になります。自認書と保管場所使用承諾証明書の使い分けについては、車庫証明の自認書と保管場所使用承諾証明書の違い|どちらを使う?ケース別に行政書士が解説で詳しく解説しています。
保管場所を使用する権原を示す書類については、車庫証明の自認書と保管場所使用承諾証明書の違いをご覧ください。
手続全体については、車庫証明の完全ガイド|必要書類・書き方・申請方法を実務経験豊富な行政書士が解説もあわせてご覧ください。
